一度姿を見てしまえば人間とは素直なもので今までの気まずさなんか吹き飛んでいて体が勝手に動いていた そう…あの日のように そっか…あたしあの人を見ると自分をコントロールできなくなるんだ なぜか嬉しい気持ちになった 早く会いたい その一心で走り続けた 頬にあたる風が気もちいい 一番古い桜の木の場所まで一度も休まず走り続けた 「っはぁっはっ……いた」 そこにはやっぱり見覚えのある背中が見えていた