「いや……いやぁっ!!!」
…数百の茨の牢
食い込む棘には赤が色をつけ、
わたしの大切な人を…捕らえている…。
わたしの代わりに、と
茨へ手を伸ばしたきみは…
…もっとボロボロになった姿で、
…今はただ宙で、目を閉じて…。
―…嫌だ…
―こんなの…こんなの…なんの意味も……
「…リス、聞…こえる……?」
「…ッ…ウォルナット…?」
……またきみが
全てが
涙で、見えなくなってた。
胸が張り裂けそうなんて
こういうことを、
…言うのだろうか…。
まるで
刺さってもいない茨が、
心臓に巻きついたようで…。