「…ウォルナットォ…っ……。」



茨に引きずられたまま

わたしはウォルナットと目が合って、

思わずまた涙を零した。



泥と血でボロボロの大好きな顔が


…それでも優しいから…。




「…泣き虫、だなぁ…アリスは……。」




そう言って、わたしに微笑んだウォルナットは

わたしの肩へしがみつくようにして…




「っふ…ぅ……ウォ、ルナット……?」


涙の止まらないわたし


目の前に、傷だらけのウォルナットの顔。



「目を、閉じて?……アリス……。」


「え…?」





了承する間もないまま、


わたしが次の瞬間、一瞬だけ目を閉じた時―




―…ちゅ






痛みまで忘れた気がした


…柔らかい唇が、ほんの一瞬重なった…。