「アリスーッ!!」


「ウォルナットッ…!」



悍ましい気を放つ白兎の元へ

ズルズルと引き戻されるわたしを、


ウォルナットが追いかけてくる。





その時、初めて


わたしは気付いた。



「アリスッ…今助けるからっ……っ…!!」




走ってくるウォルナットの体は、

わたしよりボロボロだった…




全身の肌から血を滲ませて

綺麗な金髪も汚れて

自分の手のひらを見たら、彼の血で染まっていた…。





――「もういいよ…っ」



口が、勝手に動く


それでも、ウォルナットは




本当に最後の力を振り絞って、


わたしの体に飛びついてきた。