白兎の全ての茨が

緩んだ。




「…スッ、アリスッ!!」



段々はっきりしてくる、わたしを呼ぶ声

少し楽になった体



長い間眠っていたかのように

わたしは目を開けた。



「…ウォル、ナット…?」

「逃げるんだ、アリス!できるだけ遠くへっ!!」




ぼーっとする頭

比例して、痛みが増した体で駆けた

大好きなウォルナットの手と手を繋いで。





「…逃がすもんか。…お前達だって“一人”になってしまえっ!!」




後ろから

白兎の叫び声が聞こえる

怖くても、痛くても必死で走った



“一緒に帰るため”…。