……
この空気の震えは
僕にもきみにも伝わっただろうか―。
「――僕は―アリスを死ぬまで裏切らない!」
「――“約束”したから!“ずっと一緒にいよう”って、あの樹の下でっ…!…だから、ずっと一緒だ!…だって……!」
「――っ僕が死んだって…きみはきっと僕を忘れないからっ!!!」
息の限りに―
僕は、きみを呼んだ。
届いたかな…?
“…裏切らない?”
“……ボクも、約束した…”
“―だから、ボクもキミを忘れてない………”
「…“キミ”は?」
スルリ、と
幾本かの茨の蔓が消える。
白兎の胸に、
小さな茨の棘
そして、
赤い目からは、雫が零れ落ちた―。