―手も…足も、赤くなっていくウォルナット
―……やめ、て……いいから…
―…え?……なぁに……聞こえ、ないの……。
「―スッ、アリスッ!!」
牙を覗かせ、笑う白兎
いつの間にか茨に飲まれはじめた、僕
そんなの構わない、だから…アリスだけ…
「ア、リス!聞いてよ…、きみに言わなきゃっ、いけないことがあるんだっ…!!」
「………。」
「アリスッッ…!!!」
僕のアリスを呼ぶ声だけが、虚しく響く
僕とアリスを蝕む茨は
既にひとつの牢になろうとしていた…。
「あはは…アハハッ!いらない“お人形”まで出来そうだねぇ!」
“君のことは、ここに捨ててってあげるから!”
狂ったような、妙に高い白兎の声が
癇に触る……
こんな奴に
壊されるほど―、
薄っぺらい“想い”なんか僕らは持ってないのに…―!