勢いよく掴みかかった
鋭い棘の茨に、強く、強く、強く。
「アリスッ、アリスッ、今助けるから…!……ッ……!!」
「―これは禁じ手なんだけどね、女王様は“生きた”“アリス”をご所望だからさ…」
手を、足を赤く染めて
ビクともしない茨を引き剥がそうとして
目が虚ろになっていくアリスに、
僕は叫ぶ、
届け、僕の声に気付いて…!
―動いている、ウォルナットの口
―…なぁに…?……あ…りす……?
「無駄だよ、少年。もうすぐこの“アリス”は…“お人形”になるのさ。」
「させない、させないっ……、“僕の大切なアリス”は絶対渡さないっ!!」
白兎は、痛みは、無視した
無意識で涙を流すアリスを今、守ることより
―大事なことなんてないから…