囁いた
確かに、きみへと。
「アリス、待ってて…きみを“不思議の国”にいかせたりしない…」
ここは不思議な場所だ
真っ暗で、でも歩いていける
まるで、夢の中。
黒猫の左耳に
アリスへの想いを精一杯囁いた僕は、
この“チシャ猫の耳の道”にいた。
―オイラの“耳の道”を通ればぁ、“アリス”のいる場所へ直行なのさぁ
―でも、既に“アリス”が“不思議の国”にいたらぁ…
「手遅れ…僕も、アリスも帰れない…。」
黒い、チシャ猫の言葉を呟いた
そして、
―どの道を選ぼうとぉ、キミはきっとぉ、もう“元の場所”には帰れないだろうけどねぇ。
チシャ猫の言葉が
頭を過ぎった。