わけのわからない僕だったけど、
腕に抱いた黒猫が、急に暴れて僕を急かす。
「さぁ、早くぅ。“アリス”が“不思議の国”にいっちゃうよぉっ?」
「わかったよ!でも、君をだっこしてどうしようっていうの?」
暴れられてたまらなくなって、
また小さく叫んだ僕は、黒猫のイントネーション以上に
奇妙なことを聞くことになる。
「じゃあぁ、オイラの“左耳”に“アリス”への想いを囁いてぇ。」
「そんなことして、どうなるの?」
黒猫に尋ねてはみるが
また焦り始めた僕は、
それでも、黒猫の左耳に口を近付けた。
牢獄なんかに、絶対アリスをいかせたくない。