「な、なに、それ?」



驚く僕に

黒猫は、まるで当たり前のことを説明するように言う。



「なぁにってぇ、“宣言”さぁ。この森はぁ、“不思議の国”じゃあないんだよぉ。」

「じゃなくて、その耳っ。」



僕は、黒猫を左腕だけで抱いて

右手で、黒猫の左耳を指差した

そして



「“不思議の国”って、なに…?」




聞いてはいけないことを親に聞くように、

黒猫に尋ねた。


黒猫は、

ちょっと黙って



“不思議の国”は“お伽の牢獄”さぁ…



と、本当に少しだけ哀しそうに

そんな風に教えてくれた。