霧が立ち込める
ありもしない太陽の日差しが、微かに照らす。
「ねぇ、どこまでいくの?」
「もうちょっと先にある“入口”だよ。」
白兎に手を引かれながら、
わたしは森の中の小道を歩いていた。
しばらく前まで歩いていた、暗い暗い森とは違う
ぼんやりとした、先の見えない道をいく。
今でもわからなかった
白兎に付いてきてしまった理由が。
「ねぇ、白兎さん…」
「なんだい?」
今になって心配になっていた
ものすごく、ものすごく。
「本当にウォルナットと会えるの?ここは、さっきの森と違う…」
わたしが尋ねると、白兎は一瞬立ち止まった。