僕は真摯な目で見つめてくる黒猫を、

ただ見返していた。


睨むように、


鋭く。



「なんで睨むの?“全て”が“真実”さ。」

「―違う、違う違う違う。」



僕は否定の言葉を連呼する

黒猫の言葉が、なぜだか頭の中を浸蝕してくる



―アリスは消えた―



「違うっっっ!」



頭を抱えて叫ぶ

振り払う。



「“本当”に?アリスはまだこの世界にいるのかな?」



からかうような、

僕の思考を疑うような黒猫の言葉が


頭にこだまする。




でも、“した”んだ

たしかに、



僕らは―。