「ウォルナット?あぁ、あの少年かぁ…」



わたしの問いに白兎は、ちょっと考えるような様子だった

そして、何事がブツブツ呟いていた

わたしの耳には、



―らない

―っでいいか

―だよなぁ



そんなことしか、聞こえてこなかった。


でも、白兎はブツブツ言い終わると

また笑って、わたしにこう言った。



「あの少年とはまた後で会えるよ。だから、今はボクと一緒にいこう?」

「え、でもわたし…」



白兎の誘いに、わたしはすぐに乗れなかった

だって、こんな森の中にウォルナットはいるのだから、

必ずまた会えるなんて、信じられなかったから。