白兎は、



「“アリス”は“アリス”じゃないから、不思議の国がわからないんだね。」



と謎なことを呟いた。


「不思議の国…?」



わたしは、自分の記憶に引っかかった方の

白兎の言葉を復唱する。

前に、おばあちゃんからそんなお伽話を聞いたような気がする。



「そう、不思議の国さ。」



白兎は、嬉しそうにわたしの復唱を復唱した。


不思議の国のお話、その主人公の名前も、

わたしと同じ名前の“アリス”だった気がする。



「不思議の国…アリス…わたしはお伽話の夢をみているの?」



子供らしい、いや、

至って“普通の”考えに至って

そして、わたしは白兎に問い掛けた。