「上着とってくるね」
多分、私の顔は固い。
突然の改まった私の切り出しに対し、未礼は既に察していたかのように、すんなり立ち上がり、上着をとりに自室にむかった。
ふすまを開け、自室に入る背中には戸惑いも躊躇いもなく、かえってこちらの緊張感が増したほどだった。
縁側に出て、庭が見渡せるように、戸を開け放つ。
未礼が腰をかけたのを確認してから、私は電気のスイッチを押した。
居間の電気は消え、代わりに、見渡す視界がパッと明るくなった。
「う…わぁ!!!」
未礼が感嘆の声を上げた。
普段は、光一つない暗く静寂な庭一面に、イルミネーションの明かりが点灯した。
眩しさに思わず目を細める。
「すごーーーい!!キレーーーイ!!いつの間に?!」
昼間、未礼が料理をしている間に業者に設置してもらったのだ。
縁側から見渡せる範囲に、派手なクリスマスのイルミネーションを。
せっかくのクリスマスだ。
一日くらい、この殺風景は庭に明かりを灯すのもよいだろう。
「あ、サンタがいる!!」
子どものように無邪気にはしゃぐ未礼の瞳が、光を受け止めてキラキラと輝いている。
私は未礼の横に座った。
吐く息は白い。
「…話というのはだな…」
私は意を決し、口を開いた。
すると、
「その前に」
と、未礼が私の言葉を遮った。
未礼は縁側に座る前に自分の横に用意しておいたモノを私の前に差し出した。
「啓志郎くんに、クリスマスプレゼント!!」
例のマフラーだ。
「仕上がったのだな」
未礼はうなずき、「できあがったのギリギリで…ラッピングする暇なかったんだけどね」
私の首に濃い青のマフラーをかけた。
マフラーは、とてもシンプルで、とても肌触りがよかった。
「ありがとう。大事にする」
私の感謝の言葉に、未礼は、静かに微笑んだ。
そして言った。
「ニューヨークの冬は寒いからね」
言葉が返せなかった。
「よかった。よく似合ってる。啓志郎くんには、この色がぴったりだと思ったんだ」
私の首にまかれたマフラーに手をかけてさらに微笑んだ。
多分、私の顔は固い。
突然の改まった私の切り出しに対し、未礼は既に察していたかのように、すんなり立ち上がり、上着をとりに自室にむかった。
ふすまを開け、自室に入る背中には戸惑いも躊躇いもなく、かえってこちらの緊張感が増したほどだった。
縁側に出て、庭が見渡せるように、戸を開け放つ。
未礼が腰をかけたのを確認してから、私は電気のスイッチを押した。
居間の電気は消え、代わりに、見渡す視界がパッと明るくなった。
「う…わぁ!!!」
未礼が感嘆の声を上げた。
普段は、光一つない暗く静寂な庭一面に、イルミネーションの明かりが点灯した。
眩しさに思わず目を細める。
「すごーーーい!!キレーーーイ!!いつの間に?!」
昼間、未礼が料理をしている間に業者に設置してもらったのだ。
縁側から見渡せる範囲に、派手なクリスマスのイルミネーションを。
せっかくのクリスマスだ。
一日くらい、この殺風景は庭に明かりを灯すのもよいだろう。
「あ、サンタがいる!!」
子どものように無邪気にはしゃぐ未礼の瞳が、光を受け止めてキラキラと輝いている。
私は未礼の横に座った。
吐く息は白い。
「…話というのはだな…」
私は意を決し、口を開いた。
すると、
「その前に」
と、未礼が私の言葉を遮った。
未礼は縁側に座る前に自分の横に用意しておいたモノを私の前に差し出した。
「啓志郎くんに、クリスマスプレゼント!!」
例のマフラーだ。
「仕上がったのだな」
未礼はうなずき、「できあがったのギリギリで…ラッピングする暇なかったんだけどね」
私の首に濃い青のマフラーをかけた。
マフラーは、とてもシンプルで、とても肌触りがよかった。
「ありがとう。大事にする」
私の感謝の言葉に、未礼は、静かに微笑んだ。
そして言った。
「ニューヨークの冬は寒いからね」
言葉が返せなかった。
「よかった。よく似合ってる。啓志郎くんには、この色がぴったりだと思ったんだ」
私の首にまかれたマフラーに手をかけてさらに微笑んだ。