不安が的中したというか、なんというか…。
米をこんなに食べられるだろうか…。


ちらりと未礼を見ると、「早く食べて」と言わんばかりの、キラキラとした目で私をせかす。


そんな期待たっぷりの目で見られたとて、にぎりめしを食して、一体どんな感想が言えようか…。


所詮、米だ。まずくはないだろう。それが救いだ。



「そんな心配しなくても大丈夫だよ〜」

アルミに包まれた巨大にぎりを前に、ためらう私を見て未礼は笑った。


「心配してはおらぬ。いただこう」

私は、おにぎりにかぶりついた。



「!!?」



「どう?どう?」



「……美味い」


「よかったーー!!」


満足げに、未礼も自分のおにぎりを包むアルミをはがした。


「これは、鶏のから揚げか…」

さらに食べ進めると、

「エビマヨだな。…まだあるのか」


未礼は、にっこりしてピースをした。

「名付けて、おかずおにぎりだよ」


鮭の西京焼きも出てきた。


「あとはね、卵焼きと、豚の角煮が入ってるの。
おにぎり一つで手軽でお得でしょ!」



…なるほど。

どこから食べても違う味が楽しめるよう、
それだけでなく、へたに味が混じり合わないよう、絶妙に具が配置されている。



何より、具が美味い。


「おかずは、未礼が調理したのか?」


「そうだよ。啓志郎くんちの台所には食材がいっぱいあるよね。
お弁当には絶対から揚げと卵焼きは必要でしょ。卵焼きは、啓志郎くんはの好きな出汁巻きにしたの。
角煮はね、多めに作ったから晩御飯に食べようね♪」


ご飯に鮭を合わせるのが一番好きだ。
卵焼きは、砂糖をいれない出汁巻きを好む。
角煮には、生姜を多めに入れる、など、おかずはすべて私の好みの味つけになっている。



「ああ。驚いた…」


見直した。

見た目はアレだが、料理が得意というのは、嘘ではなかったのだ。


「これだと、手も汚れず、食べたあとゴミも少なくて良いな」

「でしょでしょ。よく考えたでしょ、あたし」