路上での捜索が一段落し、私たちは公園での捜索を開始した。


公園で遊ぶ幼子と、見守る母親の姿。



幸せと微笑みの象徴である昼間の公園を見渡しながら、夜を想像した。



暗い夜道。

電灯はあれど、夜ともなれば人通りもないにひとしい。



状況を想像し、未礼を思った。


不気味なほどに静まり返ったこの場所で、
たった一人、男に追われ、どれほど心細かったことか…。


恐怖、不安…。


この場所をどんな気持ちで通り過ぎたのだろうか…。


婚約者であるにもかかわらず、慰労の言葉一つかけてやらなかった自分を大いに恥じた。


申し訳ない…。



必ずや、ネックレスを見つけ出し、今度こそきちんと未礼に詫びよう。




決意を胸に、捜索活動に没頭した。


草木をかきわけ、地面をはいつくばり…。




そんな私の姿を、1人の男の幼子がじっと見ていた。


私のすぐ足元にボールが転がってきた。ボールを取りに来たのだろう。
ボールを投げてやると、幼子はボールをつかみ、母親のもとへ走って行った。


地べたを這うように何かを探している小学生など、不気味にうつったに違いない。


だが、なりふりなど構っている余裕などない。


側溝の石蓋のすき間から中をのぞいた。


すると、奥にキラリと光る何かが目に入った。


これは…!

はやる気持ちを抑え、石の蓋に手をかけ、持ち上げようとした。


しかしながら、10センチくらいだろうか、わずかに上がったものの、中を確認できるほど蓋は持ち上がらなかった。


実質今の私は片手しか使えないのだ。



仕方がない。
ジャンを呼ぼう。

そう思い、蓋をおろそうとした時、
私の手を覆うようにして、何者かの手が、力をそえた。


大きな手。


蓋は、いともたやすく持ち上がる。


ふいに眼球の裏に、兄の面影が走り去った。気がした。



「なんか見つけたか?」