「ジャンは、あっちの道から」

琴湖は、私を無視し、ジャンに指図している。
ジャンも、うなずく。



「いや、待ってくれ」


振り返らない琴湖にさらに呼びかけた。




「きちんと頼ませてくれ。
未礼のネックレスを一緒に探してくれないか?」



  琴湖が、正論だ。



詰まった胸の内が、冴え渡るように、すっと入れかわった気がした。




自負ならば、またの機会に取り戻せばよい。


今は、ネックレスを見つけることが、先決だ。




琴湖は振り返り、「ええ、そのつもりです」と、いつもの気の強い笑みを浮かべた。


「えーっと、確かゴールドのネックレスだったよね!」

ジャンの顔にもやる気が満ちている。


「馬蹄形…確か幸運のモチーフでしたわね。私はクローバーの方が好みですけれど」




散り散りになり、宝探しがはじまった。




…心強い。


今、確かに、
そう、思った。