それは


ほんの



ささやかな



こと





波の音に耳をかたむける


わたし




携帯のボリュームをあげて


調子はずれのうたをうたう君




それは



ほんの



ささやかな




こと






月が満ちて




黙って見上げる



わたし





濡れてしまった服に




舌打ちする











ほんの




ささいなことが




分岐点になり




別れた道は




離れて




いくばかり






かわらない


ものと




かわっていく




こころと





それを



とめる



すべはもう




どこにもないの






波の音だけを



きかせて



まるい月をみせて




道端の




紅い花は




わたしを




微笑ませて



くれるから





わたしは




歩きだせる




わたしの



あしで





地球を



ふみしめて






歩きだしたいの