彼は、そう言うと
クルリと向きを変えて
ヒラヒラ手を振りながらどこかえ行ってしまった。


丁度それとほぼ同時に
真衣が私の方へやって来るのが見えた。


「亜紀?どしたの?次移動だよ」

真衣は、教科書をギュッと
胸で抱き顔を覗かせるように私を見た。




『あッ……。』


お礼言うの忘れちゃった…。


まぁ…いいか。



私は、屈み込んでさっきキャッチ出来なかったカイロを拾った。


『…温かい…。』


さっきまでの震えも
いつの間にか止まっていた…。