――嗚呼、また夢を視ている。


藤咲三春がそう気付いたときには、辺り一面暗闇だった。
しっとりと身体に絡み付く闇色が何処か心地好く、何も見えないと云うのに三春は安心感すら憶える。

どちらが上か下か、それすらも解らないままで不意に聞こえだすのは何時もと同じ…高らかに歌う、声。


軽やかに弾むメロディは今までに聴いたことの無い歌で、決して嫌いではなかった。