そんな生活が
当たり前になった
ある日、転機が起きた。


保育園から帰ってきて、
いつも通り
ひとり部屋で遊んでた。

夕焼けのオレンジ色に
染まった部屋で、
いつの間にか
私は眠ってしまった。



ガタンッ ガシャンッ


何かが倒れたり、
硝子が割れる音がした。


「…おかあさん?」


寝ぼけ眼の中、
ウサギのぬいぐるみを
抱きしめながら
部屋から出た。


向かい側にある
お兄ちゃんの部屋は
とても静かだった。


「お……
……っ!!」


危なく“お兄ちゃん”
と呼んでしまう
ところだった……。


呼んだらまた
お父さんに叩かれる…!

右手で口を抑えながら、
ゆっくりリビングの
ドアノブに手をかけた。



「ふざけんな!!」

ガシャンッ ガタタッ



「っ!?」

大きな音に驚いて
ドアノブにかけた手を
引っ込めた。


お父さんが
怒ってる…!!

何が起きてるのか…
私は恐る恐るリビングの
ドアを開けた。