「あなた!?
今日遅くなるんじゃ…」

お母さんの言葉を
遮って、私の方まで
走ってきた。

私は身体が震えて、
ただ立ち尽くしていた。

秋の終わりの寒空に、

パシンッ…

と大きな音が響いた。


何が何だかわからない。

左頬に鈍い痛みが走る。

そして同時に右腕を
強く引っ張られて、
いつの間にか
自分の部屋に
放り投げられていた。

そして父は無言で
私を殴り、蹴り続けた。

「ごめんなさい」

「ごめんなさい」

「おとーさん
ごめんなさい」


どんなに泣いても、
喚いても、謝っても…
父は止めてくれ
なかった。


だんだんと意識が
朦朧として来た中で
微かに覚えてるのは、
父の腕にお母さんが
しがみついて、
一生懸命 止めようと
してくれていたこと。