「なんで?」
「それがあいつ便所に携帯落っことしたみたいでよ、次の日ゆりちゃんにそれ言おうとしたらシカトされたって超凹んでて…」
「ふっ…」
俺は加藤こと、加藤勝希が凹んでる様を想像して吹いてしまった。
「ウケっぺ?まぁゆりちゃんにしてみれば半日くらいはメールも電話も無視されてんのと同じだかんな」
「放課後に落としたわけか…」
「あぁ、意外に抜けてんだアイツ」
勝希と言えば男版美嘉って感じでいつもムスッとしてる割とクールな男だ。その勝希がそんなんなってるってのは…
「素でウケんな!」
「まぁ翔ちゃんも似たような環境じゃん!他人の不幸を笑うとイイこたねえぞ」
「うるせーこの!!」
「まぁいいじゃねえの。俺も女の事で悩んでもみてえよ」
「呑気だなテメーは。 うしっ」
無性にバスケがやりたくなってきた。
「新ちゃんよ、体育館行こうぜぃ!」
「おう」
俺は馬鹿みたいに単純だ。落ち込む事は多いけどちょっとした切っ掛けですぐ吹っ切れる。まぁそれが俺のイイところでもあるけどな。