そう言えば、携帯を落とす寸前までゆりとメールをしていた。
その日の放課後俺は友達の神谷伊月と遊ぶ事になってて、ゆりも友達と遊ぶと言ってたから、一緒には居なかった。

その代わりにメールをしてた訳で、ゆりから今週末映画に行きたいと送信されてきた。

その時俺はうんこをしていて(笑)、ちょうど水を流すタイミングに、あろう事か手が滑り後の祭りとなった訳だ。


だからそのメールの返事も出来なかったし、今週末の予定もあやふやなまま現在に至る……


俺の自惚れをこうも育ったのは、いつもゆりがベタベタきて甘えてくるからだ。

言葉にしなくても、そうゆう態度をとられる事で、

「大好き」

と言われてるのと同じだと思った。

ゆりと付き合って以来、目立った喧嘩もする事なく、こうゆう接し方をされてきた俺は、 「ゆりは俺の事が好きでしょうがねえんだな」 と思い込み、自意識と自惚れに拍車が掛かった訳だ。

でも、それは単なる錯覚だったのでは?と、今は思う。

少なかれ俺のこう言ったセコい性格をゆりは知っているに違いないし、他にも嫌いな部分があったのかも知れない。

例えば、寝相が悪すぎる事とか、ムッツリなトコとか、変なトコでプライドが高い事とか……

俺の欠点は山の様にある訳だ。

もう無理、気持ち悪いって思われてたら、この上を行く非力で無情な想いもない。マジでヘコむ…

それで俺と別れる口実としては、今がチャンスとでも思っているのかも……

はぁ〜。

そうやって相手の気持ちも知らない癖に、疑ったってしょうがねえじゃん……

俺はホントに陰湿なヤツだ。


そんな事に思いを馳せながら歩いている夜の街は、とても静かで穏やかで、それが無性に孤独に思えた。

空には転々と散る星の光と、自信なさげに輝く三日月がボンヤリと浮かんでいた。