カズマの逞しい身体に少し乱暴なくらい抱かれてるとき、僕は本当の自分になれる気がしていた。
日常の何もかもを忘れ、いつもどこかお高くとまってる自分も捨て去り…ただ欲望に身をまかせた。
カズマほど完璧な男を僕は他に知らない。
男らしい眉に鋭くつり上がったクールな目、183㌢の長身に完成されたしなやかな肉体。どれもこれもが僕とは正反対で、僕の男としての劣等感を煽った。カズマから好きだと打ち明けられたとき、僕は正直勝ち誇ったような気持ちになったのをおぼえている。
完璧な男、カズマの弱みを見つけたような気がしたから…。
そして、その弱みの原因をつくったのが自分だということに僕は酔いしれたのかもしれない。
カズマの告白に僕はNOと答えることもできた。
それまでカズマをそういう目で見たこともなかったし、どちらかというと男らしいカズマへの嫉妬心から憎しみの対象でしかなかった。
なのに…カズマが僕を…?
好きだと言われたとき、身体の奥からフッフッと何かが沸き上がり、死人がよみがえるように全身にエネルギーが満たされるのを感じた。
カズマが僕のさまよう心を確実なものにしてくれる……そんな気がして。