「…あ、ありがとう...」




  電車に乗った私は
  先生にそう言った。


  ち、
  近い…。



  私は少し
  離れたところに行きたくて
  動こうとする。




  「あ…葉月っ 待って」




  “待って”
 

  先生にそう言われて
  思わず足を止める。


  先生にそんなこと言われて
  待たないはずがないじゃん。




  「そこ…席空いてるから…座るか?」




  先生は空いている席を
  指差して言う。



 
  空いていたのは
  ちょうど一人座れるぐらいのスペース。