「鮎?よく聞いてね。翼、あれから病院に運ばれて…意識不明の重体だったの。
それから鮎が病院に運ばれてすぐに…翼は…翼は…。」

「…わかった…。」

砂倉に言われなくても分かった。

翼は…死んだ、って。

翼はもういない。

翼はもうあたしに優しくしてくれない。

翼はもうあたしがピンチの時迎えに来てくれない。

あまりの衝撃に…涙なんて出なかった。



[翼…翼がね、もうあたしの前に現れないって思ったら…現実をすぐに受けとめる
事ができなかったんだ。だけど翼がいなくなって分かった事はたくさんあるんだ
よ。今まで流してきた涙は…翼の優しさがあまりにも優しすぎたからなんだ。だ
けど流れない今の涙は…翼がいなくなってしまった悲しさがあまりにも悲しいか
らなんだ。翼…会いたいよ。]