『one sweet day』

夏の暑い日
傘がなくて走り出した私に
「濡れるよ」
て言って腕をつかんでくれた人


「もう濡れてますから」
そう言いながら
つかまれた腕が
熱を帯びてくるのが
意外で驚いた


うながされて乗った彼の車
雨の音に耳をすますふりをして
涙をそっと逃がした


やわらかい沈黙の車の中には
「one sweet day」
がかかっていて
彼は運転しながら
小さく口ずさむ


覚えておこう
腕のぬくもりも
やわらかい沈黙も
小さな歌声も


いつか同じ体温で
眠りたい
同じ羽根に包まれて
安らげるなら
心が軽くなるだろう

私の一番ステキな日

one sweet day