気がつくと私達のクラスは決勝で、三年の優勝候補と試合をしていた。


コートの外には井上君とアキちゃんがいるのが見えた。


ホイッスルが鳴り、得点を見る。
視力が低いせいでよく見えない。

でも井上君が笑ってるのが微かに見える。
アキちゃんが泣きながら抱きついてきたのがわかる。
チームの子達も。


どうやら、勝ったらしい。

「紗都!やっぱ天才だわ!ありがとう、ありがとう」


アキちゃんは自分の事のように喜んだ。

手渡されたペットボトルから、水分を体に流し込む。


勝利の実感が湧く。



「勝てたのは水原さんのお陰だよ。バスケ部に来て欲しいくらい」


バスケ部のクラスメート達は口々に言う。


本当はアキちゃんと井上君のお陰だよ。
照れくささと疲れが、その言葉を飲み込んだ。




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