「紗都も勿論バスケでしょ?今年はライバルじゃん」
「そうだね、ソフトは流石に難しそうだし」
ペットボトルを開け、お茶を喉に流し込む。
「何、水原バスケやんの?」
いきなり後ろから声をかけられ、息が止まりそうになる。
振り返ると、同じクラスの井上 祐太郎がいた。
井上君は一年の時も同じクラスだったけれど、話しかけられたのは、これが初めてだった。
「あ、うん」
「何よ、井上。紗都がバスケしちゃいけないっての?」
アキちゃんは冗談っぽく井上君を睨む。
二人は一年の頃から仲が良かった。
友達として、だけれど。
「ちげーよ、水原がバスケやんなら、うちのクラスまずバスケは貰ったなと思ったんだよ」
ちらり、と井上君に見られ、恥ずかしくて咄嗟に俯いた。
「うちのクラスだって負けないから。紗都、決勝で会おうね」
「え…あ、うん」
授業の始まりを告げるチャイムが鳴り、アキちゃんは自分のクラスに戻った。
残されたのは私と井上君。
「水原、頑張れよ。俺もバレー頑張っから」
「うん」
井上君はにこり、と笑い、八重歯を覗かせた。
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