「ま、ポジティブでこそ瑞希だからな」
寿也は「帰ろうぜ」って言いながらバッグを肩にかけた。
俺はしばらく窓の外の光景を見ていた。
男の腕を照れくさそうに掴む水上……。
水上と一緒にいた笹岡が男に向かって笑いながら何か言っている。
男は困ったように笑いなが、笹岡に向かって大きく頷いた。
男と水上は笹岡に手を振ると、二人で仲良く肩を並べて歩き出す。
笹岡はそんな二人の背中を見送ると、二人とは逆方向に歩き始めた。
「んだよ……」
男の腕を掴んだまま、幸せそうに微笑む水上。
「んだよ……離れろよ……」
無意識に呟いていた。
水上は掴んだ腕を離さない。
「そんなふうに笑ってんじゃねーよ……水上……」
結局水上は男の隣りで幸せそうに微笑みながら、校門の前からゆっくり姿を消した。