あいつが彼氏?
水上の……?
俺は遠くに見える人影にじっと目を凝らした。
水上に何やら笑顔で話しかけてる男……。
きちんと着こなした制服、黒髪、真面目そうな雰囲気がプンプン漂っている。
なんか、俺と真逆な感じ。
「あの制服は修英学院の制服だな」
寿也がチラッと俺を見た。
「修英学院って……。
あの名門進学校か?」
「そ。
この辺じゃ一番のエリート校だな。
うちもそれなりの進学校だけど、修英にはかなわない」
寿也はふうっとため息をついて、俺を哀れみの目で見つめた。
「見たところ顔もなかなか良いし、おまけに頭もいいときたら……。
お前に勝ち目ねえな。
もう諦めな」
……彼氏がいる。
水上には彼氏がいる。
俺と真逆な真面目な彼氏が。
俺に勝ち目がない?
もう諦めろって?
諦め……。
「……られるわけねーだろッ!
俺の方がかっこいいし、学力だって抜こうと思えば抜ける(といいなと思う)んだよ!
ていうかあいつタンポポじゃねーじゃん!
俺はタンポポだけど!
水上のタイプはぜってー俺だ!
うん、俺だ!
勝ち目がないのはあっちの方だぜ!」
寿也の冷たい視線が飛んできたけど、気にしない。