「でも……これはいらない」


水上は申し訳なさそうにオルゴールを俺に返した。


「え、何で!?
やっぱり気に入らなかった!?」

「あ……違うの。
別にそういうことじゃないんだけど……」


水上は俯き気味に首を横に振った。


柔らかく長い髪がふわりと弧を描く。


「ならいーじゃん。
やるよ」

「でもっ……!」

「でもって言うな。
いーんだよ。
どーせこれ、お前のために買ったんだから。
いらなかったら捨てて」


俺は半ば強制的に水上にオルゴールを持たせる。


水上は困っているように眉を下げたけど、目は嬉しそうに輝いていた。


「……もらっていいの?」

「当たり前じゃん!」


水上はオルゴールをギュッと胸に抱いて、照れくさそうに笑った。


「……ありがと、宮本くん」