次の朝、やっぱりちょっと気が引けている俺。


「やっぱりさー……あんなオルゴール、受け取ってくれないと思うんだよな」

「何言ってんだよ今さら」

ため息をつく俺の隣りで、寿也は呆れ顔。


でもなんだかんだ言いながら、俺のバッグには包装されたオルゴールがしっかり入っている。


今日もいつもと変わらない通学路を歩いていた。


「ん?」


ふと、道端に黄色いものを発見。


俺はゆっくり近付いて、その黄色の前にしゃがみ込んだ。


「瑞希、何してんだよ。
遅刻すんだろ」


しゃがんだまま、ゆっくり寿也を見上げる。


「なあ、寿也ー……」

「あ?」

「これ、タンポポ?」


道端にポツリと咲いた小さい花。


道端にいるくせに目立っている、明るい黄色。


小さい、小さいタンポポ。