俺の頭に浮かぶ考えは「どうしようか」なんかじゃなくて「どうやって振ろうか」。


YESか?NOか?そんなんで悩みなんてしない。


だって答えはこいつの顔を間近で見た時から、すでに決まってたから。


「あの、宮本くん……」

「……ああ、はいはい」

「屋上……来てくれる?」


めんっどくせー……。


とか思いつつ、優しい俺はこんなおブスちゃんにも付き合ってあげるわけで。


「あの……好きですっ」


ほら、始まった。


「高校入学して一目惚れして以来、ずっと宮本くんが好きでした……!」


一目惚れねえ……。


その言葉、言われすぎてもう聞き飽きたし。


「よ、良かったら私と付き合って下さいっ!」


はいはい、分かった分かった、もーいいから、鏡見てから出直せよ。


……そのレベルで俺の彼女になろうなんて、俺もなめられたもんだ。


「わりぃな」


俺は最上級の笑顔を作る。


「嬉しいけど、その気持ちには応えられない。
だから、気持ちだけ受け取っとく。
サンキューな」


今にも泣きそうなそいつのブサイクな面見て、また笑いそうになった。


本当は「自分の顔、鏡で見たことある?」とか言ってやりたいけど、言わない。


だってそんなこと言ったら、俺の評判下がっちゃうじゃん?


だから、心にもない優しい言葉でお断り。


トボトボ屋上を去っていくそいつの後ろ姿を見ながら、溜め息をつく。


これで今日は4人目。


何が4人目かって?


……振った女の数。