「あ、あのっ……。
宮本(ミヤモト)くん……」


突然名前を呼ばれた。


俺は顔を上げて、今まで携帯に向けていた視線を声のした方へ移す。


「……?
えーと……鈴村?」

「あ、うん!そう!鈴村」

たしか……こいつは鈴村香奈とかいう……クラスメート、だった気がする。


「どうした?
俺に何か用?」


とりあえず、優しく笑ってみせる。


「あ、あ、あの……。
ちょっと、いいかな……?
話が、あるの」


真っ赤に変色したその顔見りゃ、どんな話かなんてすーぐ分かるですけど。


それに、遠くから面白そうにこっち見てる女子がチラホラ。


うん。


あれもよく分かる。


女子特有の、あれ。


どーせ「香奈、頑張れ!」「香奈なら大丈夫!」とかなんとか言ってんだろーな。


別に話さなくても分かんだよ。


告白したいんだろ、俺に。