さっきよりも近く、近く顔を寄せる。


「ねえ、先生?」


顔が近付くに比例して赤色が深まる顔。


「新学期早々怒られたら俺たちも気分悪いし、怒る先生の方だって気分悪いでしょ?
だから今日のところは見逃してくれませんか……?
ちゃんとした理由もあることだし」


硬直する女教師。


んー、もう一押しか。


「それにね?先生」


声のトーンを下げて、小さく甘い声で囁く。


「怒った顔も可愛いけど、俺は先生の笑った顔が見たいな?」


さっきまで鬼みたいなツラしてたくせに、今じゃ茹でダコ、間抜けヅラ。


やっぱり女って単純。


「り、理由は分かりました!
でも今度からは、遅刻しないように気をつけてくださいね!」

「はーい」


元気良く返事する俺の横で、寿也が大きくため息をついた。


「じゃあ宮本くんと工藤くん、急いで席について。
工藤くんはあそこ、宮本くんは窓際の一番後ろね」


窓際の一番後ろ!?


わーい、めちゃくちゃ良い席じゃーん、ラッキー!


寝放題ってか。


うはは!