「コラ!
宮本くん、工藤(クドウ)くん、あなたたち新学期早々遅刻ですか!?」

「すみません」


案の定、担任の女教師にこっぴどく怒られる俺たち。


「何で遅刻したのか、ちゃんと説明してください!」

「や、あの、えーと……」


上手い言い訳を考えているのか、寿也は唇を噛んで俯いている。


ったく、寿也はまだまだだな。


こういうのはこうすんだよ。


「先生?」


自分の顔を、教師の顔ギリギリまで近付ける。


それだけで目の前の顔は真っ赤に染まる。


所詮、教師も女だな。


「朝、学校に来る途中、重い荷物を持ってたおばあさんがいたんです。
なので、俺と寿也くんで運んであげていたら、いつの間にか時間が……。
あ!
でも、寿也くんは「そんなおばあさんのことより、早く学校に行こう」って言ってたんですけど、俺がどうしてもおばあさんを助たいって言ったので、無理して付き合ってくれたんです!
なので寿也くんは悪くないです!
遅刻した原因は俺です!
俺のわがままに寿也くんを巻き込んでしまって……。
寿也くん、ごめんね?」

「いいよ別に大丈夫だよ気にしないで俺もおばあさん助けたかったから」


寿也は満面の作り笑いを浮かべて、棒読みでそう言うと、俺の背中をギリッとつねった。


「……っ!」


背中に電撃のように走った激しい痛みをこらえ、俺は再び微笑んで女教師を見つめた。