結局寝れなかった。
朝日の立ち込めるカーテンを恨めしく思う。
あの瑞穂の瞳がなんとなく頭から離れなくて、ボーっと考えていたら携帯のアラームが騒がしく鳴いた。
「だりー……」
スウェットを脱ぎ捨てて、制服に着替える。
洗面所で親父に会ったけど、特に会話はしなかったし、目も合わなかった。
鏡に映る自分を見つめる。
ん、かっこいい。
毎日見てもかっこいいって思う。
自分で見てもかっこいいって思うんだから、そりゃあモテて当然だよな。
「なんてね」
……でも、何か足りない。
いや、完璧なんだけど、でも何か足りない。
その何かが分かんない。
俺……。
「……ってヤバ!
もう7時半じゃねーか!」
遅刻ー!!!!