水上を見つめていると、授業はあっという間に終わる。


水上っていくら見ても見飽きない。


むしろ見れば見るほど魅せられてしまう。


「……なんだコレ」


放課後、俺は掃除用のモップを寿也に押し付けてニコッと笑った。


「としくん、俺、ジュースいらない」

「……は?」

「ジュースいらないから掃除当番代わって」

「ハァ!?」

「んじゃに~♪」


掃除当番を寿也に押し付て、いざ水上の元へ!


「お待たせ水上っ!」

「あれ?
宮本くん掃除は?」

「終わった!」


寿也の視線を感じたけど、気付かないふり。


俺は右肩に水上のカバンをかけて、左手で水上の手を握った。


「!」

「“はぐれちゃう”だろ?」


俺がいたずらっぽく尋ねると、水上は耳まで真っ赤にしてうつむいた。


「歩くの速い時言えよ?」

「う……うん」


そんな俺たちを見たクラスメートがコソコソと話し始める。


水上と噂になるなら本望だぜ!