「おい、瑞希!
帰ったのか!?」
無意識のうちに舌打ち。
……あーあ、でたよ。
自分の部屋に続く階段を半分まで登り終えた時、下から太い怒鳴り声が聞こえた。
「おい、瑞希!!!」
「うっせーな!
今帰ったっつーの!」
俺の足音に感づいて起きた親父が、1階の寝室から出てきた。
ったく……。
わざわざ静かに歩いてやったのに。
相変わらずの地獄耳だな。
階段の下から俺を見上げるようにして睨み付けている親父。
グッキリ浮き出た目の横の血管がピクピクと動いているのをみる限り、相当キレてるんだなって分かった。