タンポポの花びらをいじりながら、小さく息を吐いた。
「俺も、昨日ちょっと考えたよ」
タンポポを抜かれた方の手をぎゅっと結んで、水上は俺を見上げている。
「目ェ見えないって言われた時はビビったけど……でもビビったってだけで、別に引いたりとかはしなかった」
朝からこんな話したら重いかな……。
でも言っておきたい。
「むしろ逆に水上に謝らなきゃいけねえな……って。
お前が目ェ見えないの知らなかったから、俺、映画なんて誘ったり……大声で怒鳴ったり……。
不快な思いさせてごめんな」
水上の手にタンポポを戻す。
「なんで宮本くんが謝るの……?
私が悪いのに……。
私が目見えないこと言わなかったから……」
「そんなんだよ!!!
そこなんだよ!!!」
俺は水上の机をバンと叩いた。
水上の体がビクンと跳ね上がる。
「なんで最初にそれ言ってくれなかったんだよおおおおおおおお!
言ってくれたら俺、映画なんて誘わないでもっと別な場所に連れて行ってやったのにっ!
バカッ!
水上のバカッ!」
「だ……だって……」
泣きそうだった水上の顔が、泣き顔になった。
震える手で、水上はそっと俺の制服を掴んだ。
「だって……言ったら……宮本くん、私のこと嫌いになるんじゃないかって思ったんだもん……」