「冗談……だろ……?」
「あははっ……。
冗談だよって言えたら幸せだよね」
嘘だろ。
夢だろ?
だって……。
水上が……盲目……?
固まる俺に向かって、水上が寂しそうに微笑んだ。
「ほら……。
私のこと……嫌いになったでしょ……?」
俺たちの間を冷たい風が吹き抜けていった。
もう……春なのに。
「そういうことなの。
だから手繋いでもらわないと歩けないんだ。
だから……本当に申し訳ないんだけど……暗くなる前に送って下さい……」
そう言うと、水上は俺の手をそっと握ってきた。
でも……その力は弱々しくて、手はかすかに震えていた。