さすがに道のド真ん中で叫ぶのはまずいか……。
「行こうぜ」
俺はさっきまで水上を掴んでいた手をパンツのポケットに入れて歩き出した。
しかし数歩進んで足を止める。
顔だけ後ろに向けて確認した。
やっぱり。
案の定、水上がついてきてない。
「何してんだよ」
水上はその場から1歩も動かず、下を向いて立ちつくしたまま。
「おい、早く……」
「……ったよ」
「は?」
声が小さくて聞こえない。
俺は足の向きを変えて数歩進んだ。
俺が前まで行くと、水上はゆっくり顔を上げた。
「見えて……なかったよ……」
そう言った水上の目には涙が浮かんでいる。
「水上……!?」
「宮本くん……もう隠さず言うね……」
水上が、そっと自分の目を指差した。