「お前最低だな!」 水上は目を見開く。 「前から婆さん歩いてきてたの見えただろ! どうしてよけてやらなかったんだよ!」 そう俺が怒鳴った瞬間、水上の動きがピタリと止まった。 「しかも自分からぶつかっておいて謝りもしないなんて、どういう神経してんだよ! 婆さん転んだんだぞ!? めちゃくちゃ腰痛そうだったじゃねえか!」 「……」 通りすがる人たちがジロジロと俺たちを見る。