……へへ。


へへへへへへ……。


「ママ~、あのお兄ちゃんニヤニヤしてるよ~」

「こら!
見ちゃいけません!」


うおっ!?


すれ違った子どもに指を指されて我に返った。


にににに……ニヤニヤ!?


俺がニヤニヤ!?


してねえよ!!!


……多分。


動揺を隠すように、俺は水上に向き直った。


「でさ、次どこ行く?
どっか行きたいとこある?」


俺がそう尋ねると、水上は言いにくそうに口を開いた。


「ごめんね……。
あの……私、もう帰らなきゃ……」


え……。


え──────!?


「えっと……まだ早くね……?
まだ3時にもなってないけど……」

「でも、暗くなる前に帰らないといけなくて……」


まさか……。


そこまで俺と一緒にいたくないのか!?


「あ……!
あの、本当はもっと遊びたいんだけど……けど……」


水上が必死に弁解するも、正直あんまり納得いかない。


「分かった」


俺は水上の手を引いた。


「帰るか」


水上は何かを言いたそうな顔していたけど、俺は無視して歩き出した。


「送るよ」