「綾~、ちょっといい?」

そういって慧は廊下から綾を呼んだ。



「うん!じゃあ、行ってくるね。」

嬉しそうに慧のところへ行く彼女の後姿を見ると、またちくりと心臓が痛んだ。



・・・今まではあたしのところに来てくれてたのに。


あたしを呼んでくれたのに――。



慧の【特別】だったのが、急に【ただの友達】に変わってしまったような気がした。


廊下にいる二人の姿があまりにもお似合いすぎて、教室でただボーっと黒板を見つめているあたしが惨めに思えた。