「なんだ、手つないでるじゃん。」

さっきまであたしに「手、つなごう?」とか言ってきたくせに、綾と幸せそうに手をつないでいる慧の顔はまぶしいくらいに輝いていた。


・・・ムカツク。



自然と早歩きになる、あたしの両足。

12月にもなってやっと今、初めて寒さを感じた。


隣に慧がいない、妙な寂しさ。二人の姿が目に入るとちくりと痛む、変な心臓。



そっか・・・そうだったんだ・・・。


「早く気がつけばよかった・・・。」




あたし、慧が好きだったんだ―――。